コミミズク
フクロウを保護しました。
カラスにいじめられていたようで、両翼に傷があり、かなり衰弱していました。いわゆるミミ(羽角)はわかりませんが、調べてみるとコミミズクのようです。
冷凍していたウズラの雛とピンクマウス(ネズミの生まれたて)を食べてくれました。ネズミが好物らしく、早速、もっと大きいネズミ(ホッパーサイズのマウス)を注文しました。
どのぐらい食べるのかよくわからないので、まずは体重の2割を食べさせました。少し元気になり、もっと食べそうなので3割あげてみました。しばらく完食していましたが、1週間経った頃、残すようになりました。
2割に減らすとまた食べ始め、ひと安心です。あげすぎた様です。
渡り鳥で冬季シベリアの方から遥々日本にやってきたらしい。元気になって戻ってもらわなければ。
カチカチ威嚇音を出しますが、攻撃はしてきません。おとなしい性格のようです。カラスにいじめられちゃうのもなんとなくわかります。馴れたら困るのですが、かわいい。フクロウカフェがあるのも頷けます。
ペレットの解剖
保護して直ぐに、ペレット(ペリット) を吐き出しました。フクロウなど肉食の鳥は、消化できない毛や骨を塊にして吐き出す習性があります。
何を食べていたのだろうと思い、最初のペレットを水でふやかし、毛を丹念に取り除いて、骨を取り出してみました。
骨の種類と数から、ちょうどネズミ1頭分のようです。頭蓋骨が一部分離していました。それらの中に面白い形の骨を見つけました。
蝶形骨です。蝶の形をしているので日本では蝶形骨と呼ばれます。目と鼻の後ろで頭蓋の底にある骨です。横に写っているのは、普通のホッチキスの針です。
ネット検索で調べていると、「日本産ネズミ類6種における頭骨構成骨の形態比較」という文献を見つけました。この論文に基づき、今回の蝶形骨を調べるとコミミズクが吐き出したのはヒメネズミの骨だとわかりました。下顎骨の特徴にも当てはまります。
ペレットから、保護されたあたりにはヒメネズミが居る事、コミミズクはやはりネズミが好きそうな事、一回に1匹だけを食べていたなどがわかります。あげている冷凍マウスのペレットの頭蓋骨と比較すると、食べていたネズミの大きさもわかりそうです。ペレットは8−10時間で吐き出す様です。
また、頭蓋骨から外れていた側頭骨を解剖し、アブミ骨を見つける事ができました。
アブミ骨は中耳にある、3個の耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の1つで、乗馬のアブミの形をしています。
耳に入った音は鼓膜を振動させますが、耳小骨は、鼓膜の振動を増幅させる装置です。鼓膜に付いたツチ骨からキヌタ骨、アブミ骨と順に増幅されていきます。哺乳類には必ずあるそうですが、鳥類にはアブミ骨しかありません。耳小骨の振動は、アブミ骨の鐙の足を乗せる部分が嵌った卵円窓から蝸牛に伝わります。
実際、卵円窓近くに蝸牛と思われる膨らみが確認できます。
割ると、中がカタツムリのようにラセン構造になっているはずですが、何しろ小さく、バラバラになりそうでまだ試していません。上手く行ったらまた書きます。
他にも色々な骨が観察でき、同じ哺乳類の自分を調べているようで面白い。
面白いプレゼントをくれました。
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